武術と施術 その3
医学の話に戻す。
現代の(我が国の)医療は、いわゆる「標準医学」とされる、科学に裏打ちされた西洋由来の医学が主体となっている。
私は鍼灸師なので、立ち位置としては東洋医学に属するのかもしれないが、考え方の基本は現代医学である。
(鍼灸師は、学生の時にカリキュラムとして、標準医学・東洋医学を同時に学ぶ)
鍼灸師で鍼灸院とはいえ、現代の「科学的に根拠に基づく医学」は、やはり外せない。エビデンスは大事であるし、私は基本的にそれに基づいた施術を日々行っている。
ただ、実際には、それだけでは解決しない事もよくある。(もちろん勉強不足もありますが)
また、「施術した結果は上手く出たが、根拠がよく説明できない」事も往々にしてあるのだ。
特に経穴は、「現代の医学的には説明できないが、経験的にそこが良く効く」スポットであり、先人が積み上げてきた経験則の賜物である。鍼灸師はそれを活用し、施術に取り組み、結果を残している。
問題は、東洋・西洋に関わらず、「どちらか片方だけに注力しすぎて盲目になる」思考であると考える。
先のTwitterでのやり取り(その1)を見ていると、自分の知ってる、見えているものが「リアル」で、自分の知らない、よくわからないものを「ファンタジー」と括ってしまっているようにも見える。
「医術は人に施すものだから、必ず根拠を伴わなければならない」のは、まったくその通り。
「でも、それだけでは上手くいかないこともあるよね?」
「その時は、他の考え方からアプローチしてみるのもいいんじゃない?」
そのために、今は東洋医学があるのだと思う。
逆もまたしかりで、東洋医学で全てが解決することも無い。
現代における標準医学は、その字が示す通り、世の「標準」であり、そこに基づいた治療が基本である。(私も、薬は飲むし注射はするし健康診断だって受ける)
要はバランスである。東西どっちが優れているというものでもない。どっちも優れている。
また、武術も同じで型・競技どちらも優れた面を持っている。
ただ、どちらか片方だけができれば、それで全てが理解できるということは無いと考える。もし、そのどちらかしか知らないのであれが、その対極にあるものも知った方がいいと思う。そうすると、また考え方が変わるのではないかな?
そんな事を考えた一連の流れでありました。
(終わり)